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最近読んでいる文献

ここでは、私が最近興味を持って読んでいる文献、これまで読んできた文献などをまとめてみたいと思います。

3月3日 更新

日本語教育における学習の分析とデザイン 言語習得過程の視点から見た日本語教育
岡崎眸 岡崎敏雄 著 凡人社

★凡人社の店頭で見て読みたくなって買った本。
研究者の視点、現場からの視点の両方から日本語教育を考察している本です。
認知心理学的アプローチ、情報処理での分析、言語習得の観点から、
具体的にどのように教室活動をデザインしていけば良いか書いてあります。
役に立ちそうな予感。




2月8日


第二言語としての 日本語の習得研究
第二言語習得研究会 2004.12

ピア・レスポンスは推敲作文にどう反映されるかーマレーシア人中級日本語学習者の場合ー
広瀬和佳子(佐賀大学)


●私が今、興味のあるピア・レスポンスの実証研究。大学で日本語を勉強する留学生5名を対象としたピアレスポンス研究。ピアレスポンス研究には、

(1)ピアレスポンス前と後の推敲作文の違い

(2)ピアレスポンス中のインターアクション。学習者間でどんなインターアクションが行われているか。

(3)ピアレスポンス中にどんなインターアクションが行われていて、どんな活動がどんな推敲作文にいかされるか。インターアクションと推敲作文の関係について。

という3つの観点からの研究がありますが、この研究は(3)学習者のピアレスポンスと、その結果できあがった推敲作文の2つを分析しています。

私もできれば(3)の観点から分析をしてみたいと思っていたのでとても興味深かったです。





広東語文法 
東方書店 スティーブン・マシューズ、ヴァージニア・イップ

私が今読んでいるのは、中国語の語気助詞に関する文献です。日本語の終助詞と似た機能を持つものが
ないかどうか論文を探していて、中国語の方言の一つで広東語に「語気助詞」というものがあることがわかりました。これは中国語で標準語とされている北京語にもあるそうですが、その数は圧倒的に広東語の方が多いということです。広東語が使われているのは、中国南部の広東地方、広西地方、香港、マカオ周辺です。北京語の次に広く知られている言語だそうです。この広東語に多くみられる文末に使われる語気助詞と、日本語の終助詞の関係を知りたいと思います。

<基本>

・広東語と北京語の違い→文法構造は大まかにみると似通っている。だが、同じ文法を持っているわけではない。特に音韻と語彙は最も対照的な差異を持つ。

・たくさんある中国語の方言の一つ。広東地方、広西地方、香港、マカオなどで使われている。

・広東語は標準的な書き言葉を持たない。広東語のローマ字表記にはいろいろな方式が使われているため、アルファベットで表示することも困難である。(北京語で使用されるピンインとも違う。)

<文末語気助詞>

文末語気助詞は広東語の話し言葉の重要な特徴で、コミュニケーション(語用論)において重要ないくつもの役割をになっている。

1.疑問、述べ立て、依頼などの発話行為の類型を表す

2.証拠性(情報源)を表す

3.感情的色彩を加える

・くだけた会話においては語気助詞が一つや二つないと多くの文が不完全な感じがする。

・外国人学習者にはこれらを正確に使い分けるのは難しく、また、個人差のほか性別、年齢などによっても違った使われ方をするのが特徴である。

・広東語には語気助詞が非常に多く、北京語では基本的に7つしかないのに比べ、約30ほどの基本形がある。

→日本語の終助詞と似ている!

・広東語の語気助詞は、北京語と一対一の関係にはないものの、機能は大まかには似ている。ただし、広東語では複数の助詞の組み合わせが比較的容易に使われるのに対し、北京語ではle「了」だけが他の語気助詞と一緒に用いられている。

・語気助詞は通常文末に使われる。しかし、文のトピックの後ろや文中の自然な切れ目に使われることもある。



ATTENTION & AWARENESS IN FOREIGN LANGUAGE LEARNING
Richard Schmidt
University of Hawai 'i at Manon

Integrating attention to form with meaning : Focus on form in content-based Spanish instruction
pp217-258

・スペイン語学習者を対象とした形式重視教授法と、コミュニカティブな教授法のどちらが効果があるかを
実験した研究。
この本に掲載されている論文のもとになっているのは、「学習者の意識・気付き(attention&awareness)は言語習得を促進する」という考え。これは、何らかの方法によって学習者のattentionを増幅できれば、
学習者の習得を促すことができる、反対に学習者が教授項目に気付かなければ習得することはできないと
する考えです。
日本語教師をやっている時に、友人にattention、input enhancementなどの話を聞いて「なるほどー」と
思っていました。教師なら何とかして学生に上手になってもらいたいもの。教師の教え方もだけれど、
それ以上に学生自身のやる気、教師のfeedbackによる気付きが必要なのだろうと感じています。


☆随時更新☆

1.SECOND LANGUAGE ACQUISITION    
Susan M. Gass; Larry Selinker


・第二言語習得に関する一般的知識。これで第二言語習得に関する大体の基礎知識、用語、定義などを得ることができる。

2.SECOND LANGUAGE ACQUSITION PROCESSES IN THE CLASSROOM -Learning Japanese- 
Amy Snyder Ohta

・記述的研究
・日本語学習者の独り言(private speech)を長期的に調べた研究。
・学習者同士の訂正、ピアーインターラクティブでの学習効果が指摘されている。


3.第二言語習得・教育の研究最前線ー明日の日本語教育への道しるべー
日本言語文化学研究会
お茶の水女子大学論文集


第二言語教育でのピア・レスポンス研究:ESLから日本語教育に向けて 池田玲子

作文指導にピアアクティビティーを採用することの意味。その効果。この研究によると、教師が作文訂正を行った場合よりも、学生同士で作文訂正を行わせた方が、効果があると述べられている。教師が与える文字によるフィードバックだと、学習者が読んだかどうかがわからない。読まずにいる場合も多い。しかし、学生同志だと、わからないところを互いに指摘しあい、すぐにフィードバックを受けることができる。この結果は、学生同士で学習をすることに慣れている欧米圏の学生では効果的だったが、アジア圏など、教師から一方的に指導を受けることに慣れている学生には効果がみられなかった。

☆おもしろかったです!!!日本語だし、読みやすくもありました。私が実際に、日本語学校で作文を指導し、添削するのにも本当に苦労しました。このアイディアは、新しいと思いました。教師が一方的に訂正を与えるのではなく、学習者同士に直させるというのがいいのかもしれません。
 

4.The role of input enhancement in developing pragmatic competence
Satomi Takahashi

Pragmatics in Language Teaching; pp171-199


☆今、興味があるのが、学習者と教師のinteractionによる言語習得
です。教室内では、どのように言語が習得されているのか?ということです。
また、学習者の心理的要因によって、その習得に差はあるのだろうか?ということにも興味があります。認知的な面からも言語習得についてみていきたいと思っています。

5.A longitudinal study of the development of expression of alignment in Japanese as a foreign language
Amy Snyder Ohta
Pragmatics in Language Teaching :CAMBRIDGE UNIVERSITY PRESS


☆二人の日本語学習者を長期的に追った研究です。はじめは、全くでなかった表現が学習が進むにつれて自然に出てくるようになったということが報告されています。


6.Fossilization in Adult Second Language Acquisition
ZhaoHong Han


・第二言語習得における化石化についての本。先生に薦めていただき、さっそく購入してみました。

・「化石化」とは、「第二言語習得の過程で、ある項目だけが誤用のままその学習者に残り、学習段階が進んでも改善されることなく残ってしまうこと。」この化石化によって、第二言語学習者は目標言語を母語話者と同じレベルまで習得することはできないと言われている。

・化石化現象について、様々な定義を紹介し、分析しています。よく調べてあるな、というのが感想。
まだ読み始めたばかりなので、今後少しずつ加えていきます。

・私の修士論文で扱ったものの一つがこの「化石化現象」でした。しかし、問題も多く、一番の
疑問は、私が扱った韓国人学習者の誤用を果たして化石化を言えるのかどうか?!ということ。
そもそも、縦断的研究だったため、同じ学習者の長期的習得過程をみたわけではなく、この化石化ということが当てはまるのかどうか、わかりませんでした。この点で最も批判が多かったので・・・・
化石化、特に、成人の学習者の場合は、どうなのか?ということを知りたくて読んでいます。

7.SECOND LANGUAGE LEARNING THEORIES
Rosamond Mitchell & Florence Myles

・これも先生に薦めて頂いて読んでいる本。難しいです・・・・・なかなか進まない・・・。

8.On Japanese ne and Chinese ba
Mutsuko Endo Hadson and Wen-ying Lu (2003:pp197-212)   
Meaning Trough Language Contract


・日本語の終助詞「ね」と似た機能を持つ中国語の「ba」という文末詞についての論文。とても興味深いです。
「ね」と「ba」、基本的機能は確かに似ていますが、「ba」の方が「ね」よりも広い意味を持つようです。

9.言語類型論と文末詞 藤原与一

日本語の文末詞に相当する表現を各言語から集めて分析した論文集。
中国語、韓国語、トルコ語などがとてもおもしろかったです。



10.英語教育 9月号 特集「第二言語習得研究の最前線」

・友人に教えてもらいました。「英語教育」で第二言語習得の特集を
やっています。下に書いてある高橋里美先生の論文もあります。
その他、認知とクラスルームリサーチをやっている小柳かおる先生、脳科学の山鳥重先生、臨界期の問題について書いている大津先生の論文などがあります。